あわじ寺子屋
◆突然の閉鎖の指示◆
昨年の1月、東淀川区役所から、G20サミットのため大阪市消防局が使用するから6月1日~7月中旬まで活動場所である「跡地」の使用禁止が告げられました。使用している団体は、その間自分で活動場所を探すようと言われました。災害時の避難場はどうなるのかとの質問には、その時は対応するとのことでした。
翌日、子どもたちに話すと、「大賀さんは休めていいが、子どもたちは困る」との声が一斉に子どもたちから上がり、代替え地を用意して欲しいという「賛同署名」を集めることになりました。
子どもたちも保護者の協力を得て、署名を集め、保護者会代表の藤岡さんと区役所に届けました。
この子どもたちや保護者の活動のお陰で、6月1日から7月19日まで、大阪市立淡路中学校の空き教室(情報スペース)をお借りすることになりました。
使用にあたっては、学校側から①運動場の使用禁止②お菓子は食べない。③自転車は指定の場所に駐輪などの条件が出ました。
一番心配したのは、学校を休みがちな子どもたちが来てくれるかどうかでした。しかし、私服を許可していただいたこともあり、普段どおりに来てくれたのでほっとしました。でも、使用してみてたくさんの利点があることに気づきました。①先生方が顔を出してくれるいうこと。「子どもと先生方との交流の場」となっています。②ひとつの教室で、目が届くということです。③広い中庭で鬼ごっこやかくれんぼができることです。
小学生にとっては、中学校は、「異なる世界」で、探検して楽しんでいます。
◆心揺さぶられた出来事◆
ある日、女子高校生(17歳)が「死にたい、高校も行きたくない、何よりも家から出たい」との相談がありました。その日は、22時までスタッフが話し合い、翌日、当事者と共に、通学する高校、東淀川警察の少年課・相談室、東淀川区役所・子育て支援室を尋ねました。当事者の生徒が直接関係者に訴えました。
つまり、子ども権利条約・第12条で保障されている「子どもの意見表明権」を行使したのです。これは、関係者にインパクトと衝撃を与えました。その日の午後、大阪市子ども相談センターが直ちに一時保護し、彼女の切実な思いと要請に応えてくれました。
子どもは、国や行政機関・地域に守られるべき存在です。同時に、守られるべきお客さんとしての存在だけではありません。自ら発信する主権者でもあるのです。
子どもたちが、自らの社会的存在に目覚め、「TO ME運動」のように声を上げ、自分の力で守るよう目覚めさせる必要があります。子ども支援の在り方を考えさせられました。
特定非営利活動法人あわじ寺
理事長 大賀喜子
●あわじ寺子屋とは?●
あわじ寺子屋は、「いつでも!だれでも!ようこそ!」を合言葉に、地域の子どもの居場所づくり、学習支援に取り組み、民間学童活動を行っているNPO法人です。
設立趣旨は、貧困の連鎖と虐待の連鎖の解決。誰でも何時でも出入りが自由で、小学校から高校生までの児童、年間のべ5000名が利用しています。
活動内容は、子どもたちの宿題やテスト勉強の指導、図書館の開設、様々なゲームや紙芝居などのレクリエーション活動。退職した教職員の方や大学生、周辺地域の支援者などがボランティアで運営しています。直面する現在の課題は、資金難と人材の確保です。
地域総研に加入したことでクーラーを2台を入手することができ、関生支部青年女性部との協力関係も構築。色んなことで相談でき、期待を寄せています。
5月からG20サミットの「テロ対策」の影響で移転を余儀なくされましたが、地域の支援で転居先を確保。いまなお地域の子どもたちの身近な心の拠り所としてその役割を果たしています。
【 くさり7月号より 】